ヒーターポジションの謎

 コントロール部

機能とポジション
目的 ベンチ ブロア チェンジコントロール テンパラチャーコントロール
ヒーター(室内暖房) 閉じる ON ROOM WARM
デフロスタ(霜取り) 閉じる ON DEICE WARM
デミスター(曇り止め) 開又閉 ON DEF 冬WARM夏COOL
 一部のGT−Rを除いては,どの箱スカにもついているヒーターですが,そのコントロール部は,上の写真のようなものです。
 さて,何が「謎」なのかといいますと,普通のヒーターには,@風量を調節するブロア A温度をコントロールする「TEMP」 Bどこへ冷暖気を送るかのポジションコントロール C内気循環と外気導入の選択レバー の4つがあります。(オートエアコンなどは違う場合もありましょうが・・)
 ところが,わが箱スカの後期型のヒーターには,この中のCがないのです。
 どんなときにCがないと困るのかと考えてみますと,まず,内気循環にしたいのは,トンネル内などの空気が汚れている場所では外気を遮断し,室内をきれいに保ちたいという場合。寒いときに,効率よく暖房をきかせて室温を上げたいとき。走行に伴っての自然風を室内に入れたくないとき。などでしょうか・・・また,積極的に外気を導入したいのは,ブロアはOFFにしていても自然な空気の流れをつくりたい。空調使用の際に,ガラスが曇らないようにしたい。などの場合でしょうか・・・
 さて,箱スカのヒーターはこういったユーザーの願いには応えているのでしょうか?
 ちなみに,私が最初に乗ったホンダライフ360DXにも,箱スカの前期型にも「内気外気切り替えレバー」はついています。ということは,この切り替えレバーの必要性を設計者がわかっていないわけがない!
 となると,どうなっているのでしょう?
 写真の下の機能とポジションは,取扱説明書に載っているヒーターに関する説明の表です。
 *表内の「ベンチ」とは,運転席足下にあるメインベンチレーターとダッシュボードサイドにあるサイドベンチレーターのことです。
 さて,この表のポジションにもある「DEICE」というもの。レバーをここに動かしても,別にフロントガラスのところから暖気が出てくることに違いはありません。これは何なんだろうと,長年の謎でした。
 その謎は,1999年夏のヒーターOHの際に解明されました。
 基本的に箱スカのヒーターは「外気導入」になっています。(ROOMポジション)そして,レバーを右へ動かしていくと足下の暖気がフロントガラスの方へ変わっていきます。(DEFポジション)一番右はしへ動かすと(DEICEポジション)空気の流れは変わらないのですが,ヒーターユニットサイドの室内空気導入口が開き,内気循環になります
 果たしてこれだけの単純なもので許されるのでしょうか? 以下に自分なりの考察を書いてみます。
 まずヒーターを寒いときに使う場合を考えました。いつも外気導入になっていたら,街中で時折見かけるサイドガラスを曇らせまくって走っている車。これらは,ほとんどが内気循環にしたまま走っている車です。別にACスイッチを入れなくてもよほどの梅雨時でないかぎり,外気導入にしていたら室内は曇りません。で,暖房能力は十分なのか・・・
 昨年まで,きかないヒーターに悩まされ続けていましたが,99年の夏,ほとんど自分でばらしてやりなおしたところ,バッチリきくようになりました。で,今年,例年並に寒かったのですが,エンジンさえぬくもれば,かなり寒い日でも室内は暖かくなってきます。
 もし,内気循環であればさらに暖かいのかもしれませんが,普通に使う分には十分な暖房能力を持っています。通常の寒さであれば,WARMいっぱいにしていると,コンソール下の吹き出し口付近が熱くなってしまうほどです。暖房能力に問題ないとすれば,内気循環のような曇りを発生しにくい外気導入固定でも問題はあまりありません。(トンネル内などでの暖房を考えると考えものですが,30年前には空気が汚れるほどの交通量を持つトンネルは少なかったのではないかと思われます。)
 で,結論。ヒーターポジションにおいては,日常生活においては問題なし。
 次に,夏場の送風をする場合。常に外気が取り入れられますので,好都合です。
 以前は,私の車でも,『COOLポジションにしても,夏場,足下から暖かい空気が出てくる』という問題がありました。これは,ヒーターユニット内の温度調節を司る冷気バイパス回路開閉扉が固着してしまうことと,ヒーター温水コックの作動不良が原因でした。(私の知り合いも同じ症状でした)
 しかし,きちんとOHの際になおしてやると,足下からは全く暖められていない空気が出てくるようになりました。
 加えて,メインとサイドのベンチレーターを開き,三角窓を開ければ,室内が沸騰していない限り,我慢できるレベルにおさまります。
 では,クーラーを使っている場合はどうでしょう?
 純正クーラーは内気循環式です。したがって,ヒーターユニットを通って少しずつ漏れてくる新鮮な空気は適度に換気をしてくれて,室内の炭酸ガス(二酸化炭素)充満を未然に防いでくれます。若干の冷房能力は損なわれるものの,長時間の使用を考えると,乗る人のことを考えた設計といえるでしょう。
 結論。夏場の送風,クーラー使用においても,問題なし。
 曇り止めをする場合。曇り止めが必要である時には,室内の湿度が高まっていることが多いはずですから,外気導入になっていることは,それ自体好都合です。(もちろん,現在のように,強力なエアコンをほぼ標準的に装備しているのであれば,話は別ですが・・・)
 オプションのクーラーがついていない場合を考えたら,外気を導入してのこのやり方がベターです。さらに,ベンチを開ければより多くの外気が導入できます。
 結論。曇り止めにおいては,使用に問題なし。
 最後の霜取り(解凍)の場合ですが,霜が降りたり,凍り付いたりというときには,外気温はかなり低いはずです。ヒーター使用においてはほとんど問題なかった強力なヒーターも,このときだけは,室内の曇りなども二の次で,最大限の暖房能力を引き出すことができるようになっています。一番右の「DEICE」ポジションにレバーをやると,ヒーターユニットの中からカタンと音が聞こえて,助手席側についている空気取り入れ口のふたが開きます。
 基本的に霜取りは,発車前に行うことで,ガラスの曇りよりもまずフロントガラス温度を上げるということが最優先課題となります。運転を始めるときには,曇り止めに切り替えれば,曇りはとれ始めますし,一度暖まったガラスは,曇り止め程度の暖気でも十分に霜取りを予防することは可能だと思われます。
 結論。霜取りにおいても,問題なし

 こうやってみてみると,見方によっては非常に合理的にできており,通常の使用においては問題ないと結論づけられると思います。もちろん,ヒーターユニット等が,きちんと動き,現在のように渋滞で車の窓も開けられないような交通状況ではないというのが大前提ですがね・・・
 みなさん,合点していただけたでしょうか?(あれ?どこかの番組みたいですね・・・)

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