甦るGT−X 平成の大改修 その弐 〜我が人生最後の道楽〜
暴かれる過去・・

何も知らないって幸せほらほらお決まりの場所錆びてる。余裕で想定内。

 我がGT−Xに,最初の手術の手がかかる。
 工場入りの時点で,ハコスカお決まりの定番ウィークポイント。ドアの下。Aピラーの下の部分,ドアの下,リアフェンダー周り。プクプクサビが浮いてきているところもあったので,そこらをまずはやっつけてもらう。前回の板金塗装が2001年。ミレニアム記念の作業であったので,あれからすでに10年近く経っている。晴れても降っても通勤にガンガン使う時期もあれば,単身赴任で不在のためかなり放置され続けてきた時期もあり,苦難の十年とも言える。さて,その間に育まれたサビは・・・・
 カーポートの下に駐めるようになってとはいえ,想定内の定番の場所以外もけっこう来てますキテマス。

風通しがいいですね反対も仲良くすーすー

 トランクルームの下の部分,ウェザーが弱かったのか,雨水がたまってきて,チャポンチャポンいっていたのはこの袋部分です。当然その周りはサビサビ。下側からつっつかれると,サクサクと落ちていき,地面がこんにちは。片方だけでは不公平なので,ほーれ,反対側もサクサックぅっと。  

鉄板で作り直し削ってなめらかに

保存会のシンボル,サーフィンラインまわりもさっさと新しい鉄板を当ててもらい,板金完了。さあ,どんどん行ってみよう!!
 ラインに気を遣ってもらいながらも,順調に作業を進めてもらいます。パテを入れて,おっと。もうすぐ出来上がりかぁという雰囲気も感じられます。

ま,こんなもんでしょう。タイヤハウス前方は

 トランクから地面を確認することができる穴は,ホイルハウスから見るとこの通り。きれいに腐ってます。これらを削っていったら,どこまで鉄板がなくなっていくのか・・・ちょっとだけウキウキ,かなりドキドキ。
 ホイルハウス前側も,同じようにホゲておりました。作り直して,さび止めしっかり。

表面のサビを落としてこんな感じフレーム的な部分をまずきれいに

さて,トランクルームの両サイドはアウトということでしたが,トランクのフロアそのものもマットをはぐると,一面のサビ。入り込んできた水分が湿気となり,マットとフロアの間で結露して,それは見事なサビサビパラダイス。結局,トランクのフロアは,かなりの部分作り直しとなりました。

フロア一部削除さび止めをべっとり<

 トランクのフロアは,使えるところは一通りサビを落として,さび止めをぬります。サビがひどかったエリアは,フロアそのものを作り直し。職人さんの手作業でリブもついたフロアを再生してもらいました。

窓枠のこの部分も,前回やったんですが・・・反対側も同じです・・・

   ドアガラス周りもモールやウェザーをはずしてみると,ここ錆びてました。この場所,前回同様です。ウィークポイントですね。

次,運転席周りは大丈夫か・・マットの下はトランク同様・・

まっかですダメなところを切除するとあぁらすっからかん

 室内に目を移します。座席の下にはカーペットがあるので,どうなっていることやら・・・ はぐってみると,来てます来てます。フロアにはシートのような物が貼ってあるので,それをはがすと,あれ?ここも地面が見えますねぇ。大雨の時にはダッシュの奥のどこぞから雨水がにじりにじり垂れてきていました。その水分がたまりたまって四十年。この有様です。腐ってるところを突っついて,ダメなところを切除すれば,結局運転席の床はきれいさっぱりなくなってしまいました。

こんなかんじでフロア作り結局助手席側もダメダメ

 トランクのフロアと同じように,点ではなく面でダメになっていて,ひんむいて突っつくとボロボロです。そのパネルをハンドメイドで作り直してもらいます。まさか,いや多分,いやいや間違いなく助手席の下もぉ。大正解。運転席下と同じように完全さび止め塗装で,結局,前2席のフロアを造ってもらいました。 

こんな鉄板から造ってもらいます足下の裏側はこんなかんじ

 ハンドメイドでとかきましたが,左の写真の鉄板みたいな物から形を切り出し,凹凸をまねて形作り,微調整をしてさび止め塗り塗り。そんな作業が続きます。当然,こんな状態のフロアの裏側にも影響はありまして,ここも底面側からしっかりさび止め塗装でできるだけ再発防止を図ります。

で,後ろの席の足下も念のためで,当然その裏側もこうなる

 後ろのシートの足下はどうでしょう。結局ここも,いい状態ではなく,同じようにはぐってサビ落としてさび止め塗ってが続きます。

サーフィンライン外側にもさび止め塗ってこれが頼みの綱

 内側と外側と板金とさび止め塗装の繰り返し。一時は,右の写真の「さび止め剤」がかなりの量,我が車に使われていました。
 「○○をはぐってみたら,けっこうキテマスね。どうしますか?」「ここまでやることは,もうなかなかないでしょうから,開けたついでに徹底的にさび止めお願いします。」このやりとりが何度となく繰り返され,日に日にドンガラに近づいていく我が車なのでした・・・

内装のパーツをどんどんはずすエンジンルームの補機や配管も次々にはずす・・・

   エンジンのいなくなったエンジンルームも,配管や配線。補機類などがどんどんなくなっていきます。元に戻る日までさようなら。室内の電装品なども次々にはずされます。ラジオにクーラー,メーターなどなど。これらは,時間のあるときに,できるだけ可愛がってあげることにします。
 

エンジンは早い段階で下ろしました稀少なL24ユニット

じわじわとサビが長年,お待たせしました

 さてさて,後ろのトランクルームの作業が進んできたら,前のエンジンルームももう一度。これまで一度も手をつけられなかったであろうバルクヘッドには,一面うっすらとサビが浮いています。鉄を錆びさせやすいブレーキフルードの影響でしょうか。  今回の補修の目玉の一つは,初のエンジンルーム塗装がありましたので,早い段階でエンジンも降ろしていました。エンジン下のメンバーなどもけっこうサビはじめてます。テンションロッドの付け根あたりも,このままではヤバい状態になりつつありました。
 見てわかる範囲で,鉄板当てたりしながら,ガンを切除していきます。


馬に乗せて車体があげてあるので,前回の大作業の時に手をつけ切れていなかった部分をのぞいてみます。サイドシルの内側にあるフレームのような構造になっているインナーパネル。その中には前回の補修時にさび止め剤を吹き込んでというところまでしかできていません。袋になっているので,これを解剖しない限り完全な補修は不可能。今回も外側から塗れるところまでさび止めを塗ってもらいます。何缶使ったんだろう(汗)

ダッシュもはずしますメーターパネルなどもなくなり
 室内では,ダッシュパネルなどの内装品がどんどんはずされます。ここも買ってからの20年以上,一度も開けたことのない場所。多分間違いなく新車製造時以来のご開帳でしょう。たくさんのホコリが歴史を感じさせます。

外装のプチネタ。給油口付近も,ロックキー近くが錆びてきました。この全塗装の機会にそのサビも落としてもらいます。ついでに,フタのスプリングも折れてパタンと倒れてきてしまっていたので,改善してもらいました。
 エンジンルーム内には,これまでにいろいろなパーツなどが取り付けられた跡でしょうか。本来ついていない穴がけっこうあちこちホゲていました。今回の塗装ついでに,純正で空いているはずのない穴は,とりあえず埋め戻してもらいます。必要な穴であれば,またあとでほがしましょう。

フロントガラスモールはずれました

 これまでホコリを防ぐためにも装着したままだったガラスがはずされます。GT系ですので,Rとは違ったタイプのモールがついています。それをはずして,ウェザー脱着の準備。

フロントのフェンダー内ダッシュ内のモーター

 さて,外装パーツとしてはずせるフロントフェンダーは,早くから取り外されていました。その内側のタイヤやストラットに面しているスペースは,思いっ切り多くの泥水をかぶり,たくましく汚れていました。
 いわゆるスプラッシュガードなるものも,柔軟性はないし,フェンダーの凹凸に形があっていなくて,泥水が後ろまで入りまくり。プレーキパイプのグローメットもぼろぼろで,そのすき間からエンジンルームへと泥が侵入。最終的にはここにフェンダーが被さるわけですが,そのフェンダーとの間に細い帯状のゴムシートがはさんであって,はねた泥水がエンジンルームへ上がっていかないようになっています。これは,純正品が出ないので,他社のものを流用してもらいます。ブレーキパイプのグローメットゴムは手を尽くして手に入れた純正部品と交換です。
 さて,ここまですっきりなると,ワイパーモーターも簡単に外せます。たのもしい知り合いのMさんの助言にそって,モーターを交換です。ダッシュもエバポもないので,らくらく交換です。

ワイパーカウル周り


 フロントガラスのピラーの付け根あたりは,微妙に雨水が集まってくるところです。ここにもいちおう水の通り道がありますが,なかなか素直にそこだけを水が抜けてはくれません。
 そういう欠陥的構造のこの部分,やはりサビの巣窟となってしまいます。某ショップからは,この角の部分の交換用パネルが売りに出されているぐらいですから・・
 他同様に,ここも前回の塗装に続き再び処理してもらいます。袋になっているため限度がありますが,できる限りのさび止め処理をしてもらいます。

ぼろぼろ落とされた塗装ミッションが収まるトンネル部分

 外装のやられている部分を板金塗装していきますが,結局塗料を落としての塗装から時間も経っているので,今回も塗装を剥離してしまいます。パラパラと落ちる塗料が地面に広がります。
 エンジンとともにミッションも降ろしてありますので,この機会にドラシャが通るトンネル部分もきれいにしてもらいます。このオレンジのさび止め剤,ほぼボディのほとんどにかけられています。時間をかけてやってもらっていますので,プライスレスな丁寧作業です。

高速走行中

 このように,ほぼ車体のすべてについてバラしてしまうことになりました。通常で考え得る板金さび止め作業はほとんどやってもらいました。この工場の板金担当の職人さん,塗装担当の職人さん,それぞれの職人魂を我が車に注いでいただきました。工場が通常の整備作業で忙しかったり,部品待ちで作業が止まったりということもありましたが,約四年半の歳月がかかりました。小学校低学年だった下の息子も最上級生となり,私の職場も異動となり,その時間の長さを感じます。ほぼ毎月一度以上は200km離れた工場を訪れました。単純に計算しても,走行距離は21000km,高速代と燃料費で約27万円。リッター20走る軽自動車でこれくらいはかかっています。
 最近の約十年近くにストックしておいた部品,時価総額はかなりの物,さらに今回作業を始めていって集めた部品やキャブやシートのOHに出した金を含めると・・・・ 庶民には恐ろしい額になりそうなので,計算するのはやめにします。 とにかく,ここまでの時間をかけた作業,一小市民の私にとっては最初で最後の道楽であります。
 さて,続きは,ばらばらの状態から,だんだん戻っていく様子をアップしていきます。 乞うご期待。


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