問診&C90‐1型、2型の違い

シルバーピジョンC90は初期の1型(’56.6〜)と後期の2型(’57.5〜)さらには’57.9〜のC90-M型に分けられる。今回のC90は1型でさきに所有していた2型とは違いが見られる。その違いを追いながら、問診を進めていく事にします。

まず、一番の違いは後輪のフリー機構。
これは、引き回し時後輪はチェーン〜スプロケ〜2次側プーリー〜1次側プーリー〜クラッチ板までを回さねばならず、非常に重たいのである。
その改善策として、2型から後輪フリー機構が採用されている。スプロケットをドライブシャフト上でフリーにしてドグクラッチで駆動を断続するようレバーがついている。

左:1型、右:2型

それにしてもチェーン周りは過剰?な自動給油のおかげで真っ黒である。洗い甲斐がありそうだ。しかし、逆を言えば、オイルでコーティングされたその下は、ピカピカのはずである。

キャブレターは、同じNIKKI(日本気化器)製。フロート室別体式で上にはティクラーボタンついている。
ティクラーとは始動性向上のためにフロートを押し下げ強制的にオーバーフローさせ一時的に混合気を濃くするもの。

2型はペイントが施されていて、安全の為、オーバーフロー時のガソリンの受け皿が追加されている。

エンジンファンカバー付近。
2型のそれには、タイミングマーク用の覗き穴&カバーがついているが、1型には無い。と言う事は、いちいちカバーを外さねばならないのだろうか?カバーの色も違っている。
前部の配線ユニットには今では見なくなった、糸ヒューズがついている。
ガソリンタンク周り。
タンクの後はチェーンオイル用のタンク。キャップの向きが逆。

1型のタンクには容量5.5立の文字が見える。

シリアルプレートもご覧のように位置が違う。
1型のプレートには車体番号、エンジン番号、形式名のほかに三菱の検刻印が打ってあり、新三菱重工(株)の電話番号までが記されている。車両に対する責任と自信が感じられる。
フロントフェンダー。
形状は同一だが、取り付けビスの数が違う。簡素化のためか、2型では減っている。
フロントパネル。
2型には立派なPeaterのエンブレムがつく。ピジョンのこのクラスにはピーターの、125ccクラスにはボビーの愛称が使われていた。
シート下部分。
スリットはエアクリーナーの取り入れ口。4つのビスはクリーナー固定ネジ。
1型はフツーのナベ頭ビス+平ワッシャーに比べ、2型はナベ皿頭ビス+化粧ワッシャーと高級感を出している。
ブレーキスイッチ。
1型はレバー式で右側に、2型はプランジャー式で左側に付いている。
防水対策の為?だろうか

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