三角比養成ギプス・グラフ作図支援その2のまとめ

平成11年度 第81回全国算数・数学教育研究(秋田)大会発表資料

1.はじめに
 三角比養成ギプス(その2)三角関数グラフ作図支援ソフトウェア(その2)のまとめです。前任校と現在の勤務校の生徒たちの感想を比較をしてみました。
三角比養成ギプス記録用紙アンケート用紙
2.生徒の声
1)三角関数グラフ<平成4(1992)年度>
・じゃまくさい。でもきれー。けっこう夢中になれる。でも遊んでる感じ、勉強じゃない。
・グラフをいろいろと自分で楽しめるからけっこうおもしろかった。
・自分で使えるようになったのでおもしろかった。パソコンを使ったほうがわかりやすい。
・グラフをかくことしか頭にない。きれいにかいて点と点の間があいているとむかついてくる。
・自分の好きなグラフがかけて便利でいい。自分で動かせるから、自分がかいているみたいでおもしろい。
・普通の授業よりCAI教室のほうがおもしろいし、楽である。
2)三角関数グラフ<平成10(1998)年度>
アンケート集計結果
1
2
3
4
5
6
1
40.0%
44.3%
26.1%
53.0%
46.1%
63.5%
2
35.7%
24.3%
26.1%
26.1%
21.7%
17.4%
3
19.1%
22.6%
31.3%
18.3%
23.5%
10.4%
4
1.7%
3.5%
12.2%
0.9%
1.7%
0.0%
5
0.9%
2.6%
3.5%
0.9%
2.6%
0.9%
6
2.6%
2.6%
0.9%
0.9%
4.3%
7.8%
100%
100%
100%
100%
100%
100%

それぞれの問に解答した理由
1.今回の授業にコンピューターを使ったことについてどう思いますか。

2.コンピューター授業は、黒板を使う授業に比較してどうでしたか。

3.コンピューター授業の学習に集中できましたか。

4.コンピューター授業の学習意欲はどうでしたか。

5.コンピューター授業の学習内容に興味がもてましたか。

6.今後、他の学習にもコンピューターを使ってみたいと思いますか。

7.今回のコンピューター授業についての感想を書いて下さい。

3)三角比養成ギプス<平成6(1994)年度>
アンケート集計結果
1
2
3
4
5
6
1
57.4%
34.1%
38.8%
61.2%
53.5%
72.1%
2
24.8%
30.2%
35.7%
20.9%
24.0%
16.3%
3
13.2%
24.0%
15.5%
14.0%
17.1%
 6.2%
4
 3.1%
 6.2%
 7.8%
 2.3%
 1.6%
 0.0%
5
 0.0%
 2.3%
 2.3%
 0.0%
 0.0%
 0.0%
6
 1.6%
 3.1%
 0.0%
 1.6%
 3.9%
 4.7%
100 %
100 %
100 %
100 %
100 %
100 %

・10分位で飽きてしまった。 ・まわりがかなりうるさかった。
・画面に集中するのでよく分かる。 ・図が小さすぎた。
・占いができたからよかった。 ・ゲーム感覚でおもしろかった。
・すごく楽しめながら勉強できてよかった。
・すっごくわかりやすくて勉強になった。
・計算をしなくちゃいけなかったけど楽しくできてよかった。
・時間が決まっていたから、頭の中でかきかえができなかった。
・時間が決まっていたから、頭の回転がよくなった。
・まちがったとき、正しい答がわからないときがある。
・コンピュータを使うのはいいのだが、どう解いてどう答を出せばいいか解説してくれない。
・2人で考えられるからコンピュータ授業の方が集中できる。
・今回のコンピュータ授業はうるさすぎたと思うが、自分自身に集中できたからいいと思う。
・いろんな問題が次々出てくるし、一つの問題を2人だけで解かなきゃいけないし、その後のお楽しみもあったから、あと、何点取れるか楽しみだったから集中できた。
・わからん所がわかるようになって早く解けるようになった。
・ある程度点を取ったらあのようなゲームができるので点を取るためにしっかりおぼえられた。
・ゲームをやりながらの勉強の方がはかどると思った。
・問題をたくさんすることで理解できた気がする。
・いっぱい間違えたけどやる気になれる。

4)三角比養成ギプス<平成10(1998)年度>
・腕がつかれた。目がつかれた。でも公式が覚えられた。
・機械を使ってやったので、紙と鉛筆よりも抵抗はあったが、よかった。
・ぜんぜん覚えられなくてダメだった。日本語で言うのと英語で呼ぶのが違うので混乱。マウスがめんどうだった。
・けっこう楽しかったけど最後のほうは、あきてしまった。でも、勉強した気分だ。はやく奈良に行きたいです。(←遠足が近づいていたためでしょう:笑)
・いつもこんな授業だといいのにと思った。分からなかったところがよくわかるようになってうれしい。でも、頭はこんがらがってしまっている。
・おぼえられていなくてプリントをすぐにみてしまった。もう少し練習をかさねてちゃんと覚えられるようにしておかなければいけないと思いました。でも、けっこうおもしろくておぼえられて一石二鳥。
・とても面白い授業でした。中学生の頃はこういうのをよくしていましたが、高校へ入ってからは、これが初めてでした。たまにこういうのがあると、プリントでやるよりもかえってヤル気がでて、今日もゲーム感覚だったけどサイン、コサイン、タンジェントのことがよく頭に入りました。こーいう授業をまたやってほしいです。
・ややこしくて、おもいっきり間違えた。でも最後には、プリントを見なくてもちゃんとできるようになった。やっぱり練習が大切だと思った。今度やるとしたら、もっとレベルを上げたいと思う。紙でするよりコンピュータの方がおもしろかった。
・3,4回やると、プリントを見ずに解答が出せるようになった。途中のクイズで点を落とすこともあった。また、それの琵琶湖の周囲の長さがとても気になりました。
・正弦、余弦、正接などの式を見ずに答えられるようになってきたのでとても楽しく勉強ができて数楽(すうがく)でした。
・はっきりと覚えてなかったのに、楽しくあせりながらsin,cos,tanが覚えられたように思いました。満点がとれてうれしかったです。毎日こんな授業だったら、数学が好きになる人がふえそうな気がします。
・いっぱいやりすぎて、疲れた。けっこう、あせるから、むずかしかった。相性占いは、良かった。
・最初やり始めたときには、頭が混乱して、間違ってばかりだったけど、だんだんわかるようになってきて、とてもおもしろかった。自然に覚えられたと思う。
・コンピュータを使うことによって、内容をよく理解することができたと思う。相しょうをやったらけっこうあたっているなぁと思った。おもしろい時間だった。
・このような授業は初めてなので、少々とまどったが、とても楽しくできた。だけど、今まで、sin,cos,tanでおぼえていたので、正弦、余弦、正接がでてきたとき、とても、わからなく、とまどったが、おぼえることが、できた。
・三角比を求めるだるい仕事も、コンピュータで、ゲーム感覚にすることによって、楽しみながら学べたと思う。今日の授業でサイン、コサイン、タンジェントは、バッチリです。

3.授業を終えて
 生徒の感想を見ている限りでは、まだまだ、使えるんじゃないかなと思います。しかし、相変わらず、コンピュータの進化が早く、CAI教室の更新でNECのDOSが利用できない(N88-BASICが動かない)機種になることが多く、残念に思っています(実際、平成10年度の京都大会の発表ではN88-BASICが動作する機種を用意できないそうです)。新しい技術でなにができるかを研究することも大切ですが、今現在ある機種の活用ももっと積極的に進めていき、その実践を糧にさらなる実践に結びつけることも必要ではないかと思っています。今ある機種さえも使い切れていない現状ではどれだけ新しい技術を盛り込んだ新機種でもたいしたことをできないのではないでしょうか(新機種でしかできないこともありますが…)。
 「中学生の頃はこういうのをよくしていましたが」、「このような授業は初めてなので」という正反対の感想がありますが、中学校によって(それとも担当者か?)コンピュータを利用した授業時間に差があるのかという思いです。これで、教科として「情報」が加えられた場合どうなるか、ちょっと心配な気もします。「情報」という教科は必ずしも「コンピュータを利用しなければいけない」ということはないそうですが…。
また、授業をしていて感じるのは計算力の低下である。問題把握能力があるにもかかわらず計算に手間取ったり最悪些細な計算ミスをする生徒が増えているように感じる。関係ないかもしれないが、新課程になってから「ゆとりの時間」が設けられることによって、教科指導の時間に「ゆとり」がなくなっているからではないだろうか。時間数を減らしたぶん教科内容を吟味していると言う答えが返ってくるだろうが、現場で感じているのは先に述べたとおりであり、やはり反復練習の時間等にしわよせがいっているのではないだろうか。そうなってくるとますますコンピュータ等教育機器を利用した授業がやりにくい。「基礎学力」(人によって定義は千差万別だが)の低下を招くことのない新課程を望むものである。


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