時代を超えた未再生GT−X
昭和40年代から大きく進歩したものに,カーオーディオがある。ラジオにしても,当時AMだけだったラジオに,FMがつくようになった。もっとも当時は,都会エリア以外では,NHK−FMオンリーだったはず。
家庭には,ポータブルの蓄音機が普及し,より主体的に音楽を鑑賞できるよう,録音機能を持つコンパクトカセットテープが登場することになる。
とはいえ,ミュージックテープが登場するには,もう少し歳月を必要とした。その間を埋める存在として,トラックごとに別曲が入っているため運転中でも頭出しが容易にできる8トラックカセットが車載機として出回っていた。
GTRは別として,最廉価グレードにはラジオもなかった当時,自分が聴きたい曲を選んで聞くことができる8トラックステレオは,非常に贅沢な装備であった。それを標準装備したGT−Xは,やはり特別な存在であった。
シンプルな操作つまみのレイアウトの本機。挿入口の左上に小さく簡略版日産ロゴがついており,純正品であることがわかる。
スピーディな頭出しの機能を買われ,末期にはカラオケ用テープとして天寿を全うした8トラテープ。あるところにはソフトはまだ転がっているかもしれない。
