フラクタル


 「フラクタル」は1975年にマンデルブローによって導入された言葉である。「私はラテン語の形容詞fractusからフラクタル(fractal)という用語を作った。fractusに対するラテン語の動詞frangereは『壊れる』、すなわち不規則な断片ができるという意味である(代数、algebraという言葉は、アラビア語でひとつにまとめるという意味の jabara から派生しているので、フラクタルとアルジブラは語源的に反意語になっている)」。また、1982年に出版された著書『The fractal geometory of nature』の序で、ユークリッド幾何学とは違った「ギザギザ (ザラザラ) な自己相似的」な形を研究の対象とした新しい幾何学を提唱し、フラクタル幾何学と名付けた。

フラクタルの定義

 位相次元(座標軸の数と考えて良い)は、0以上の整数値をとり、ハウスドルフ次元は0以上のあらゆる実数値をとる可能性があり、一般に、集合Kに対し、

        dim(K) ≦ dim(K)

ということがわかっている。

 集合Kの位相次元 dim(K) とハウスドルフ次元 dim(K)について、

        dim(K) < dim(K)

  が成立するとき、集合Kはフラクタルであるという。
 この定義から、ハウスドルフ次元=フラクタル次元といえる。

フラクタル次元

 ハウスドルフ次元の計算をすればいいのだが、その定義が大変なので、ここでは直感に頼って、簡単なフラクタル図形のフラクタル次元を計算してみよう。
 線分[0、1]をn等分すると、n個の部分にわかれるので1/nの線分がn本集まって全体を構成していることになる。正方形の場合を考えるとやはり、一辺が1/nの正方形がn2個集まっており、立方体の場合はn3個になる。つまり、指数部分1、2、3が各図形の次元に一致している。これを拡張して、ある図形は、全体を1/nに縮小された図形p個によって構成されているとき、適当な指数dで

                       logp
        p=n すなわち d=―――
                       logn

と表せる。この指数部dがフラクタル次元である。

 コッホ曲線は1/3に縮小された線分4個によって構成されているので、そのフラクタル次元は

           log4
        d=―――=1.26・・・・
           log3
である。
KochEx


※参考文献
フラクタル数学 石村貞夫・石村園子=著 東京図書
フラクタルと数の世界 西沢清子・関口晃司・吉野邦生=共著 海文堂

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